山に登れない身体で富山までいったからには、黒部峡谷のトロッコと、アルペンルートの観光バスくらいは乗って室堂までは行ってこようと思っていたのだが、バス旅行は相棒にあえなく却下されてしまう。
仕方ないので、奴のアパートで、富山湾の海の幸など買いこんで一杯やって過ごす。
海の幸も今回の目標の一つであったので、まあ良しとして、今回のもう一つの目的地である長野・飯綱高原へ向かうことにする。
常連さんなら覚えてくれていると思うが、ちょっと前にアウトレットモールで、美味い上質なワインやジャム・ソースを作るメーカーを偶然見つけた。
「サンクベール」 以来気になっているこのメーカー。富山の帰りに寄ってみようと思っていた。本社には、レストランもあると言う。
上質な加工食品を作るメーカーというのは、捜せばいくつもあるだろう。
美味いだけで、早々簡単に出かけるほど暇でもない。
私が気になっている所は、その那須の店舗の従業員が、自分のところの製品や会社について、とってもプライドをもって、笑顔で紹介してくれたことだった。
是非、訪れて欲しいと、と言い、町で一番元気のある会社です。とも付け加えていた。
会社が伸張しているのは、製品の確かさ。そしてここ数年の店舗拡大を見れば想像できるが・・伸びればそりゃ元気もでるわな。という考えと、元気があるからこそ伸びていく。
これは似ているようで、その後の展開や、事業の質に関わる大きな違いなのだ。
この辺りが、視察してみたかった。
サンクベールは、飯綱の丘陵地帯のヒルトップにあった。ワイナリー・ジャム類加工工場・店舗・レストラン2箇所・そして教会が、ゆったりとした敷地に点在している。新緑の丘陵を望むとても綺麗なところだ。
店舗前には、ウッドデッキそして芝生の中庭が広がっている。GWと言うこともあって200名ほどの客が居たと思うが、椅子に腰掛けみなゆったりとしている。
テイクアウトの店舗では、信州名物おやき・ジェラード・自家製パンのサンドイッチそしてワイン・ジュースなどが売られている。が、すべて注文を受けてから作られていた。
行列もなければ、喧騒もない。アイスやワインを飲みながら、高原の景色と日差し浴びるのを楽しみながらパンが出来るのを待つ。なんともリッチな空間がそこには存在していた。
ちょっと先の高速道路では、時間を惜しんで、パンとジュースを車に買いこんで食べながら運転している家族も多かったことだろう。大差ない金額を払ってのランチ。この雲泥の差はなんだろうね。
オーナーが記したパンフレットには、夫婦でフランス旅行をした際に、農村の農民がとてもリッチな生活をしていたを見てインパクトがあったと書かれていた。
リッチとは金持ち、ということではない。自家製のワインやパンに、これまた自家製のジャム。旬に作り置きしておいたソースやドレッシングを駆使して、これまた旬の野菜や肉・魚を頂く。豪勢ではないがリッチなのだ。
現在日本では、数年前から「スローフード」なんて言葉で紹介され始まっているが、オーナー夫妻は20年以上前から、この生活文化の違い・豊かさに気がつき実践し始めたようだ。
あちらのレシピでソースを作れば日本で売れるかも、なんて近視眼的な企画ではないだろう。なにせブドウの木から植え始まっている位だから。
それは従業員の働きぶりからも想像できる。快活かつ誇りを持ってあっている人が多いように見受けられる。
物 だけ真似るのでなく哲学まで伝播・育てようとしている!!。 壮大なプロジェクトに不肖コウダ恐れ入るのでありました。
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