昨日の続き
炉台を改装するに当って、一番の大命題は、他に無いもの。
住まいのコーディネーターを名乗っているからには、人まねはご法度なのだよ。
オリジナリティーは出したい。
とは言っても完成している家にマッチしていなくてはならない。
家のほうが、無垢材を多用したモダンな日本の山小屋(ロッジ)というコンセプトなので、日本の銘石と伝統左官工法の「洗い出し」の組み合わせで行こうとは決めたのだが・・・・・さて何を使う???か???。
大谷石というのは、当地では当たり前すぎる。洗い出しも目地部分が通常のセメント色というのも地味だし・・・・・・。
昨年の工事で使用した石で群馬県産の「多胡石」というのがあった。これはもう山元が閉山して産出が終わっていて問屋の在庫分しかなく、もう手に入らない。しかしこの肌がなんとも変化に富んでいて、色も黄色からグレーまでグラディエーションが素晴らしい。中でも竜が登場する時のような、濃灰色の怪しい雲模様が混じる物もあり、それはまるでストーブの中の炎の揺らめきにも似ていた。
温泉風呂の改修工事の余りと問屋に残っていた在庫分も取り寄せて、メインは多胡石で行く事にする。
箱を開けて見るまでどんな石が入っているかわからい、というのも近年珍しい。
実際開けて全部並べてみると、組み合わせに困るくらい多様な肌と色をしていた。
石もびっくりだが、包装紙の古新聞にもびっくり。昭和61年とある。
スポーツ欄には、南海・門田400号ホームラン。中畑・駒田・岡田・掛布 ときた。日本初のドーム球場の愛称が、ビックエッグに決定と言う記事。チーム名も南海・近鉄・阪急・・・・・・。この石は掘り出されて20年以上倉庫に寝ていたらしい。
幻の銘石を使えて光栄である。石も役に立って喜んでいるだろう。
洗い出しの方も、通常はその名の如く、化粧砂利を塗りこめたモルタルを完全に硬化する前に表面のセメント部分を洗い出し、砂利の表面を見せようという工法なので、大量の水が必要となり、通常室内には施工できない。外部専用の工法であったのだが。
近年洗わずに、スポンジで拭き取れる洗い出し製品が開発されたのだ。この製品はそれだけでも使える場所が拡大したのだが、さらに数種類あるセメントの色とカラフルな色の砂利が自由に組み合わせることが出来る。という製品で、大いにデザインのし甲斐がある製品なのだ。
コチラも他の工事で余っていた、グリーンの目地色に、やはりグリーン系の石の組合せを買い足して使用する。
果たしての出来栄えは・・・・・・
和風のシンプル&モダン というコンセプトに合いましたでしょうか?。
石に表情があって壁が明るくなった、と奥様に喜んでいただきました。
絶版の銘石とまだ広まっていない、洗わない洗い出し工法の組み合わせ。オリジナリティーあるだろう、と自慢したらデザイナーの独りよがりでしょうかね?
コメント
「大谷石」でこのブログを検索していたら、こちらの記事にたどり着きました。今はこの炉台に、ヘリテイジが鎮座しているわけですね。
私の地元に、笏谷石(しゃくだにいし)という、大谷石に似た凝灰岩の銘石がありまして、これで炉台や炉壁を造りヘリテイジを据えてみたいと、今考えているのですが、これも素敵ですね。炉台や炉壁も色々な事例があって、実に悩ましいです。
> Mr.トリデさん
7年も前の記事にコメント頂き恐縮です。ストーブ炉台もそうですが、外構工事でも一応プランナー・デザイナーの端くれですので、人がやっていないことを常々創造していないと。炉台に大谷石、と言われると正直「飽きました」栃木県内でも芦野石とか深岩石とか、もっと面白い石あるんですけどね。誰か人と違う炉台を作ってくれ、というオーダーくれませんかね。シャクダニ石とは知りませんでしたが、ぜひ使って欲しいと思いますね。