茅葺き屋根 は社会の財産である

LIFE

 先月、ある知人からイベントの葉書案内が来ていた。そこには古民家の写真が・・。

 もう20年来の付き合いになるが、その知人の実家が茅葺き屋根の古民家であることを初めて知った。

 それで先週女房と連れ立って訪問してきた。

 行くとびっくりさせられた。門からして、地元大谷石で手作りされた瓦が載っている。やはり大谷石の石蔵が左右に並ぶ。裏手には、屋敷森が広がっている。
 元庄屋の家で、先代までは、地元特産の大谷石を商っていたそうで。文字通り「お大尽様」の家なのだ。

 ウイークデイにもかかわらず、結構の来客で、知人の交友関係の広さを改めて感じたのだが・・・。

 イベントというのは、従兄弟未亡人が守っている、という自宅の一部を開放して、各地の古民家を紹介した写真展。その自宅の四季の写真。そして田舎や自然をモチーフとしている版画の展示。

 古民家のゆったりと落ち着いた雰囲気の中で見るこうした展示は、一層心に沁みてくる。

 が。

 実は私、今一歩、今回の企画の意味というか真意を測りかねていた。

 しばらくすると、知人に別室の囲炉裏に通された。大谷石で作られた席は20人が一度に火を囲めるような大きなもので、本来は玄関土間であった場所である。

 「こんな立派な実家であるとは知りませんでした」と知人の奥さんに言う。

 奥さん私の耳元に近づいてきて
 
 「屋根が雨漏りしてきているんだけど・・・全部葺きなおすと○千万円かかるそうよ・・・そんなお金ないし・・・どうしたら良いのかね???」

 「えッ!!」

 翌日。知人に電話をかけた。

 そして本家の跡継ぎは、実家を維持していく気持ちがあるのか、確かめた。

 「それじゃまず、茅葺き屋根を守る会 を作りましょう」

 知人は二つ返事で賛同した。   というのは間違いだ。

 彼が、そうした仲間の声が上がってくるように、今回のイベントを仕掛けたのだ、と思っている。

 私は住宅に関わる事は、「何でもやる、私に任せなさい」と日ごろ言ってますが、苦手なことがひとつだけある、金がない人の工事である。

 このプロジェクトはこれから始まっていくが、骨子は依頼主の金の工面というか今後の維持管理費まで一緒に考えて、一緒に直す、ということである。

 
 こんな楽しい仕事そうそうないじゃないか。 今年は仕事が少なくて凹んでますが、来年に向けなんかやる気でてきた。

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