天空のカフェ。建築士の意図が伝わる

LIFE
  当方これまでに温泉旅館や風呂またカフェなどの造作をさせていただいております。
 ここでも大抵、口を出します。
言い方悪いな「所見を述べオーナー様と検討、より良い造作を目指します」
 
 泊まる方により良い宿を、あるいは飲食店ならより美味しくなるような飲食店は、どうあるべきか、折に触れ勉強しております。
 客が選びたくなる店のファクターのひとつが「LOCATION」ロケーション。つまり景色です。
 素晴らしい景色(人工造作物例えば庭園なども含みます)は、それだけで来客に満足感を与えます。今回の旅でもっとも素晴らしい景観を体験させてくれたのが↓。愛媛県大島カレイ山展望台直下にあるカフェでした。
 真ん中の島の右端にくっついて見えるのが能島。戦国時代能島村上水軍の城があったところである。100mほどの小さな島であるが、一日二回の潮の干潮により周囲は急流となり、彼の潮流を知りうるものしか近づけない天然の要害である。
 この史跡とその急流の白波を400m上空から眼下に見下ろせ、また周りはしまなみ海道の島々が連なる、足元は豊かな森、まさに絵画的な抜群のロケーション。
 
 景色だけだったら山に登ればどこでも見られるのだ。山に登れなくても200m位歩ければ誰でも眺望をお茶飲みながら楽しめる。
 このカフェがその一番のセールスポイントを最大限活かせる造りになっていることが、造作・アドバイザーを仕事とする者として勉強になる。
 まず長い柱を立てて、中空にせり出すテラス構造(清水の舞台様)になっている。眺望第一だから当たり前といえばそうなのだが。通常の地面からでは、前景樹木で視界が遮られるからこれはコストがかかっても必然。
 次に海側には壁・仕切りのない全くのオープンテラス構造。最小限の柱とワイヤーしか見えない。これは大胆だ。子供や年配者が転落したら・・・と心配したら絶対にできない。しかしこの効果は抜群。一面全部が海に向かって開けているわけで、この開放感は山の頂に立ったに近い素晴らしいパノラマになる。
 
 カフェつまりお店であって、一面壁がない構造を可能にしているのが、店舗中央部に目立たないように仕込まれたシャッター。開放されたコの字に見せて、閉店時にはテラス部分を残して閉じられる。
 野鳥のさえずりも、新緑の香さえも楽しめ、コーヒーも旨い、レモネードは地元産レモンだ!ケーキにも柑橘のピールが入っていた。器も地元特産御影石を釉薬に使った!(これも珍しい事なんだよ御影石の釉薬って初めて聞いた)という珍しい陶器だし、テーブルも地元大島石でできている。まさに五感で堪能できる天空のカフェだった。(この店ロケーション項目以外でもポイント高し、なんか売り切れてたけどカレーランチが評判みたい)
 目を見張る、という建築ではないが。何が一番売りか、とっても良く考慮されている造りで、大変参考になった。
 メニューや器などもポイント高く、峠の茶屋気分で入店したので景観の素晴らしさにちょっと驚かされ、建築の核心部分や器など撮り忘れました。

遠見茶屋
 オープンテラスからの能島(中央の島の右下に見える小さな島)
ここに能島村上水軍の本拠城跡がある。簡単に攻め入りそうに見えて、急流の川以上の潮流に阻まれ並みの水軍では攻められない、という天然の要害

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