三重紀行 ④ 想定外

LIFE

正式な登山ルートでない今回の「マブシ嶺」だが、私のように情報を仕入れてきたのか、山頂で今日初めて2人のハイカーと一緒になった。GWで山に出かけても、人と会わない処へ行く、という山行にはなっている。

しかしそこから向かう「大台ケ原」は昨日も書いたように、車で簡単に来れて数十分で登れてしまうので、大混雑が予想されたのだ。宿泊施設もあるけど、車中泊流行りなので、頂上駐車場はそうした車で今夜は一杯だろうな・・・。

そんなこと考えながら・・・同時に今日の野営地どうしようか?・・・・。一方で時計を見て、もう一方で地形やその先の道程を想像しながら歩く。

思い出した。

かつて若い頃夏休みやっていた沢登りでは、登山地図などないし、地理院の地図を頼りに、安全な幕営地は何処か?。この滝超えて良いものか、否か?と・・・・・。地図と現場の地形を見ながら安全かつ快適な幕営地を決める、ということが、午後2時辺りの緊張の時間帯だったのだよ。此処しかない、と3時で行動を打ち切ることもあれば、ギリギリ5時半位まで遡行することもあった。幸いこうしてまだ生きているのは、その判断が上々だったということだと思う。実際一歩間違えれば・・・増水や荒天に見舞われたことは数回以上あったと思う。

沢登ほどの緊張感はないが・・・・・・今回の幕営地の決断はちょっと難しくなっていった。

 

というのは、道中の尾根はなだらかで・・どこでも野営できそうだったのだが・・・・・。流石に大台ケ原、というだけあって最後は急速に立ち上がって平らな部分が減ってくる。しかし問題は野営地の場所の問題とは違うファクターが徐々に増していたのだ。

それは沢登同様の「天気」だった。 実は想定していなかった。

「晴天だが・・・北方にある寒気高気圧の勢力下にあって・・・・・」

山に行くわけだから当然天気予報はチェックしているのだが、この寒気が想定以上に強いようで・・・。

朝からの北風はだんだん強くなってきており、標高が1600mに近づくにつれ、気温も急降下してきたのだ。

「頑張って水も背負ってきているし、五月晴れだし、気持ちの良いところでキャンプするぞ」という状況が急変してきているのだ。

 

夕方には、気温が・・・歩いていないと堪えられない位になってきた。

 

こうなると・・・・・ネットで見た、尾鷲辻と呼ばれる地点にある「東屋」に避難するのが最良であると思われたのだ。

東屋なので、屋根が上からの冷気はある程度ブロックしてくれ、腰壁は風を低減してくれるはず。16時過ぎからはそう目的地を設定したのだが・・・・結構遠い(というか体力つるべ落とし・・・・・・)

なんとか東屋に到着したのは18時を回っていた。すぐさまテントを張り、夕餉の支度をする。

通常一日の山行で至福の時間帯なのだが・・・・寒くて・・・手がかじかんで・・・。お疲れ様の一杯も、ホットウイスキーになった位。

が、それさえもゆっくり味合う時間はなかった。おそらく・・・・

気温は4-5度と思われ、この分で行くと明朝の気温は・・・・・。

 

夕食も食ったかどうか忘れているくらいの慌ただしさ・・・・。

テントに入って、ありったけの衣服を着こむ、といっても中間着の薄いものと雨具しかない。

今回水とバーターした寝袋が恨めしい。夏の北海道遠征用に買った250gのダウン。気温10度位は楽勝だが・・・・。あくまでも夏用なのだ・。

 

何もなくても、夜中二回はトイレに起きる年頃なんだが、この寒さでは3時間に一回は・・・・。その度にテントはまた冷えて・・・・。

外に居られず、溜まらずテントに飛び込むが・・・・

「死んじゃう」ほどではなかったが、実際寒くてほとんど眠れぬ一夜となったのだ。

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました