川は誰のもの

LIFE

 日記を読んでくれる方に先日お会いしたら、「遊んでいる(山に行っている)記事が多いね。」と言われてしまう。

 正直な話、仕事が少ないためである。

 また旧友からは、「内容がソフトになったんじゃない」とも言われる。

 引越しして不特定多数の方が増えて、ちょっと遠慮していたためである。

 でもご安心ください。私は私。あまり変わっておりません。

 久しぶりに毒づいてみますか。

 先日、建設会社からオーダーを頂きながら、揃えることが出来ず、お手上げしてしまった材料がある。

 玉石。擁壁を積むのに使う、30CMほどの天然の丸石である。その数、何と一万数千個。詳しく現場や工事内容はわからないが、国土交通省発注の河川関連の工事らしい。

 例外はあろうが、実は、現在河川で砂利砂の採取は新規には認められていない。
山を崩したり、堤防の外の昔の川原だった所を掘るなりして苦労して天然骨材を採取している現状がある。
 建設不況も重なり、砂利採取業は大変厳しい。

 当社も創業は砂利採取業であるから、そうしたツテを頼りに捜したのだが、県内何処にもそれだけの玉石を取れる見込みがある会社はなかった。

 国民の安全のために、堤防・ダム・堰堤を作る意義は勿論ある。しかしこれまでのやり方によって、建築にどうしても必要な天然骨材の資源が枯渇してしまったのだ。同時に、今海浜の侵食が問題になっており、これも河川からの流入土砂の減少が原因とわかっている。

 つまり減量の枯渇を招いている当事者が、無い材料で設計して発注している自己矛盾。

 この間の硬直した国土交通省のやり方には、頭にきている点もあり、今回でまたもトサカに来る。

 その私の心情を逆なでしているのが、写真にある堤防工事。現在進行中の大谷川の河川改修である。場所に寄っては、150CMから200CMの巨石が堤防の内側に貼り付けられている。

 この工法はここが初めてでない。下流域も結構こうした事が行われており、結果見渡せる限りでは、川原に巨石は取りつくされ無くなってしまった。私が子供頃、大岩の下に潜む大物を突くため、水中に潜って・・・という思い出があり、当時はそうした落差ある渓流だったのだが、現在はザラ瀬が続く単調な河川になってしまった。こんな事にしてしまったのは国交省の役人である。泳げるほど深さがるのは、堰堤の下の溜まりだけだ。

 私も大昔、砂防PRのツアーに参加して申し上げたことがあるのだが。殺風景なコンクリートの護岸と魚が遡上できない堤防の撤廃をどうにかしろ。

 全国でそう思っている国民は多いらしく。あるときから魚道付きの堤防に改修され始め、また護岸は土や天然玉石などで化粧されるようになってきた。
 
 それ自体は進歩であるし、この工事を普通の方が見れば、良い工事と見えるだろう。

 しかしである。
 その石は、川原から掘り出したものなのだよ。地元河川の転石を庭つくりに使いたくても使えない私のような業者や造園屋さんは、恨めしそうに、指をくわえているしかない。

 一部の特殊な例を除いて、河川の転石は売ってもらえず、国土交通省の独占。

 まあ川と堤防の内側は自分たちのもの、と思っているらしい。

 先の一万個の玉石も、自分たちで川原から調達すれば、良いんじゃないと早々とさじを投げたのだ。

 国民の安全確保は当然だが、川も石も国民所有の財産なのだから、建築用、造園用資材の転石の払い下げ、採取もある程度融通するべきだと思うのだが、どうなのだろう役人さん。

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました