昨日のつづき。
そんなわけで製氷プールの上には、カメラマンとマイクさんが乗り、その先に、何だか聞いたけど一度では覚えなれなかった芸名の「お笑い芸人」二人がいる。
その二人に、作業の指示を出しているのが、四代目の親方Y氏である。
氷の切り出し作業の手順は、
まず定規と糸を使って、切り出す氷の大きさに表面にケガキ線を刻んでおく。
そのラインにそって、動力のカッターで氷を切っていく。
人間が切っていくわけだから、一列ごとに切って逃げていかないと落ちてしまう。
そんな手順を勉強しながら、撮影を横眼で見てトークを聞いているわけだが、親方のY氏。これが見事なタレントぶりである。カウボーイハットがトレードマークのY氏。
主演男優かつ監督ともいうべき働きで、ディレクターはいるのだが、シナリオから立ち位置まで、完全に撮影の主導権を握っていた。かつ話が面白くて、我々お手伝いの外野は笑いをこらえるのが一苦労であった。
「そうだこれでやつらに切らせよう」と言うなりノコギリを持ち出し。これで切ってみろ、と言う。
「親方はこれで、カットしているですかいなあ?」
「そんなの使うわけないだろう、こうしてエンジン付きのカッターがあるだろう」
「そんなら、それで切ったよろしいかと・・・」
「馬鹿もん。昔の人の苦労した作業を体験させてやっているんじゃないか」
「すんまへん。ほならやらしてもらいます。」
完全に掛け合い漫才の主導権は親方にあって、お笑い芸人のほうが、タジタジになっている。
元力士とうい経歴の一人がノコギリで切り込み、元力士ではないが、なぜかちょんまげを結っている相方が、大きなハサミで、その氷のブロックを水中から引き出す。という作業が続けられいる時に事故は起こった。
氷は40kgもあり、足場が万全でも大変だ。それを滑る氷の上から引き上げる。引き上げれば、表面が水で濡れるからさらに滑りやすくなる。
5,6本引き上げた時に、ちょんまげ氏は見事に足を取られ、水中に落ちた。
体を張ってナンボの若手芸人とはいえ、これは「やらせ」ではない。気温はマイナス5度。命にもかかわる事故である。
とは言っても、番組的には「美味しい」映像になったはずである。
しかし笑ってばかりもいられなかった。
結構体重のある御仁が尻から落ちたものだから、その部分の氷が割れてまるで滑り台のように水中に滑って行った。その衝撃で残りの部分にも大きな亀裂が入ってしまったのだ。
さらにつづく。
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