偉大な作家を失い、残念でならない。同郷の星だと思っていた。
ジャーナリストのように行動し、その見聞を純文学に昇華出来る素晴らしい作家だと思う。
毎月連載していた山岳雑誌の百名山。タダ登ったという紀行文ではなく、地域信仰や生活文化を絡めた文章は、わずか2、3ページの紀行文にも関わらず、重厚であって、山に登るのだけでない、深い取材と綿密な下調べの上に成り立つもので、これを読んだだけで、彼の身体を使った文章に対する取り組みが想像された。
思えば、故郷の山に造成されようとしていたゴルフ場の反対運動を担っていた16年程前。
立松氏は、運動の呼びかけ人に参加してくれた。「ここにゴルフ場は作ってはいけない!」そう現地で宣言してくれた。その時、まだ幼児であった長女との現地でのツーショットはこうなると、我が家の宝物になるだろう。
そんな行動する作家であった。
足尾の緑化植樹運動にも毎年参加し、その朴訥で誠実な人柄は、誰からも愛されていた。
若すぎる!!!!。
間違いなく文学史の教科書に載る作家であろうし、今後の活躍でその掲載が大きくなろうか、という矢先の悲報であった。
マスコミでは、野間宏新人賞の「遠雷」が紹介されている。
この小説が他の地方の人には、どう感じるかわからないが。栃木県人にとっては、1ページ、いや一言一句「が判る」という世界なのだ。
ストーリーに新味はないかもしれないが、人間模様や家族関係/社会状況_____。みんな「判る!!!」
著名な作家になっても、律儀な人間付き合いを大事にした立松和平。
本当に残念でなりません。
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