手ぶちうどんをいただく

LIFE
 今から40年近く前。当時は紅顔の美少年であった私。花の都へ上京した時は、誰しもそうだろうけど不安で一杯だったのだ。


 まずは言葉。「訛っている」と、田舎者と見られるのでは、と恥ずかしかった。極力標準語というものを意識したものだ。

 しかし田舎へ戻って23年余。何のためらいも、恥もなく栃木弁全開である。

 先日手打ちうどんを頂いた。女性の手になるものなのに、讃岐風というか腰の強い一品であった。
 しかしこの手打ち。当地では、「てうち」とは言わない「てぶち」。

 「ぶってきた」といえば、夫婦喧嘩で妻を殴ったことではなくて「うどん、そばを打ってきた」。
 そば店の看板に使われたりする鮮度の代名詞の慣用句は、当地では
 「挽きたて、ぶちたて、茹でたて」 となっている。

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