土曜日の最後の仕事は、宇都宮北方の田園地帯にある農家であった。
学校から日光市内、そして今度は宇都宮。約束の時間に30分遅れて指定された場所に行くと、私を誘った御仁の他に2人車中に要る。街道沿いなので車から降りず、携帯で連絡する。
一人ならず3人も待たせたのではますます恐縮なのだが、現場はさらに車で1kmほど走ったところだった。
私など待っていなくても、先に下見をしていれば良いものだが・・・・・と訝っていると。ほどなくそうした行動をしていた理由がわかった。
改装する農家の家主にアポイントを取っておらず、本日は旅行で留守なのだ、という。鍵がかけられた家では外装しか見られない。
「おいおい・・・・・」
「設計屋さんの都合ばかり気にしてしまって 家主に言うの忘れてた」と涼しげに言う。
でもそんなことでメゲルような人物ではなかった。携帯で、家主に家に入る了解を取っている。
なぜか?軒下の壁に四角い穴が開いている。換気扇でも入っていたのだろうか。あそこから入ろう、と勝手に納屋からハシゴなど持ち出してきた。
これじゃ「空き巣」だよ。
周りの視線を気にしながら家に入る。
表こそ、トタンで被われていたが、屋根は立派な茅葺であった。茅葺屋根の内部に入るのは、観光化のために見せている白川郷の合掌作り民家以来、居住している家の屋根裏は勿論初めてだった。
写真に写っている雪のようなのは、埃の粒子です。
60坪以上あるであろう大きな農家は、私の目から見たところでは、屋根と基礎部分にちょっと厄介な補修が必要に思われた。
が、家の作りは、それはもう重厚なもので、尺5寸あろうかというケヤキの大黒柱や尺1寸という梁。土壁上に塗られた漆喰囲炉裏で燻されたせいでまっ黒だ。
建て替える、というプランを周りが止めたのも頷ける。
私の担当は、この古民家に床下蓄熱暖房を組み込めないか、ということと。壁を断熱材入りに変える工事。そして仕上げの左官工事である。
そうそう体験できる工事ではない。
ラフな工法は大体イメージできた。
まだ本決まりの仕事ではないが、是非やってみたい仕事である。
コメント
おおっ!また今回も素晴らしいお仕事に巡りあったんですね~。
これからの進行が楽しみです。
これから図面ができるので、仕事は早くてお盆以降でしょう。
不景気で仕事が手薄ですからその意味でも、早く決まって欲しいです。(本音)