全部見て歩いたわけではないが、今回の震災では、地震単独による被害は三陸地方より福島・茨城・栃木県東部のほうが甚大であったような気がする。
栃木でも東部に行くほど家の痛みが酷くなる。
西部の日光地域は、軽微な方であるが、それでも古い瓦屋根の家は相当数瓦が落ちてしまっている。当地の銘石「大谷石」は石蔵や石塀に使われているが。旧来の積み方であると、鉄筋やダボと呼ばれる連結補強具など使われていないから、震度6ではひとたまりもなく相当の塀が傷んだ。この塀の倒壊による死者がいなかったのは不幸中の幸いである。
さて当社への依頼の第一報は、塀がひびが入ったので修繕して欲しい。
現場に行くと、当主様は、軽く考えていたらしい。
大谷石塀が小川の上で斜めに繋がれているが、その部分が割れた、から直して欲しい、と。
私が無事と思われる部分の塀の天端。を持って揺する、と。片腕で倒壊出来そうなくらいグラグラしていた。
当主様は、それを見て大変驚かれて「早急に倒れないようにしてくれ」
本当は鉄筋入りの塀に積み替えるのがベストであるが・・・・・・道中延べ80mはあろうかという敷地の広い家であるから数百万円はかかるのは間違いない。
それほどの予算はない!ということで、怪しい処の補強そしてジョイント部分を大谷石に換えて鉄筋コンクリートの壁にして両側の塀を保持する、というプランを提案し着工となった。
と文字にすれば簡単だが、これが結構大変な工事で・・・・。
小川をまたいでいるのは大谷石を渡しただけだし・・・・そこが割れたのは、石の上にモルタルを乗せただけの基礎だったからで・・・おまけに内側には枯れた巨木の根っこが塀の下に食いこんでいるし・・・。
おまけに、コンクリートむき出しの塀じゃ困る、ということで、コンクリート面に化粧に薄くスライスした大谷石を貼りつける、という手の込んだ耐震補強工事となった。
着工前 外観
内側に15cmブロック袖壁を4か所敷設。塀にボルトを各3か所貫通させて締結。そのボルトの頭も、大谷石を丸く削り出して蓋をして目立たなくしている。
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