ちょっと怖い飲料水

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 概ね日本の水は美味しくて、安全  なのであるが・・・・・・・。中には怪しい水道もある。
 
 今年の春に、ある分譲地の水源について相談を受けていた。大雨で濁りがでたという。
 
 現地に行ってみると、昨年まで田圃に隣接する丘に水源の井戸があったという。そして今年の冬、田圃に隣接する山際の杉林の縁に新しい井戸を掘った。新しい井戸は水量が少なめなので、古い井戸とパイプで繋いであるという。
 
 その現況を見てびっくり。圃場整備で古い井戸のすぐ3m脇にまで田圃になってしまっており、かつその井戸の天端の高さまで地面が盛り土されている。これでは大雨が降れば、泥水が井戸の中に流れ込むのは必定。
 
 これは井戸枠をかさ上げして、かつ繋ぎ目をシールしなければダメだ。圃場整備をした会社に改修させた方が良い、とアドバイス。
 
 そして新しい井戸に行って、またびっくり。
 
 「井戸水が少なめなので、表流している湧水も取り込む設計になっています」
 「表流水を取り込む??????」
 
 私にはそれが、どうして井戸、と呼べるのかわからなかったし、プロの井戸掘りがそうしたことをする、というのが信じられなかった。
 実際現場の井戸を覗きこむ。ちょうど住民が水を使ってくれて、井戸の水位が下がって来た。すると地表からわずか1,5mほどの側面から水が流れ込むスリットが見える。
 私が踏んでいるこの井戸の周りの泥水は、わずか1.5m下方で井戸に入っていくわけだ。
 
 「唖然」である。
 
 これは、井戸の周りの土砂を掘り起こして、綺麗な砂と砂利に入れ替えるべし、とアドバイスしたのだが・・・。
 
 結果として井戸掘り業者は、圃場整備でもう建設機械を入れられなくなってしまったこともあるのだろう、土を井戸の周りに盛り土して、漂流水を遠ざける、だけの対処法をとったのだった。
 
 住民がそれで良いのなら、私もそれだけの、つまりアドバイスだけの話で終わりだったのだが。
 
 井戸の管理組合の代表が来て言うのには、盛り土が洗われてま濁り水が入ると困るので、対処してくれないか、という。
 
 こんないい加減な工事の尻ぬぐいはしたくないのだが、仕事として依頼を受けたからには、方法を考えなければならない。
 単純な土留なら、造作ないのだが・・・・。場所が場所で、湧水が地表だけでなく、土の中でも流れている。歩くだけで10cmくらい埋もれるような場所である。
 予算もないときている。ちょっと工法に頭を悩ませるのだった。
 

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