剣岳 点の記

LIFE

 11月3日。蕎麦祭りに出かけた後の午後。当市に月一でやってくる映画の日であった。
 映画を楽しむには今日ちょっと貧弱な映画館しかない田舎町であるから、市内一番の公会堂である会館で上映会が開かれている。

 今月の上映は3本。そのうち一本が「剣岳 点の記」であった。都会のロードショーが一巡して旬が落ちた頃やってっくるのは、いたしかたない。その分料金は安くて一人700円。カップルだと1000円である。

 常連さんならご存知のように、9月に登ってきた富山県・剣岳。同行した皆さんは、この映画を観て、登ろうと決心したという。

 私は行った後だが、この機会を逃すと貸しビデオでしか見られまい。映像が美しい、と言われているだけにここはスクリーンで、と出かけてみた。

 剣岳周辺の地理は頭に入っているだけに、何処から登れるか、というアプローチの苦労は、よくわかる。撮影の苦労もわかるカメラワークである。

 それぞれの人物の葛藤というか、機微というものが、ストーリーの柱だと思うが、その辺が押さえた演技というか、演技させない演出というか、淡々と進められているようで、この辺は評価が分かれる所かもしれない。

 それにしても明治時代の登山というのは、大変だったんだな、と感じる装備である。

 でもこうした先人の足跡があるから、我々は、「剣岳行ってきた」なんて軽くいえる訳だ。

 地図を作る人間の苦労や存在は、私たちは全く意識していない。でもその仕事があるから、助けられている。そうした意識や感謝してなくても、そうした無数の仕事の積み重ねがあっての便利な生活に、私たちは日々生かされている。

 
 北陸新幹線の橋脚を作るために、富山に赴任になった友人。そしてその監督仲間。

 新幹線に乗っていて、この橋脚のお陰でなんて、名も知らない建設会社や監督や、土工に感謝すること無い。

 映画を観て、登場人物たちに自分を重ねてみる気持ち。登ってみたいと思った気持ち。よーく解りますね。

 

コメント

  1. でんでん虫(s6912h) より:

    三角点設置って大変なお仕事ですね。剣岳の測量手柴田芳太郎さんが岡山県の一等三角点(滝山)に埋設に昭和2年にお出でになっていました。外国にまで測量に出かけておられるんですね。

  2. kouda より:

    山に登ると三角点の礎石が、埋め込まれている。こんな重いものをここまで運び上げるなんて大変だな。と何時も思っていました。でも映画を観て、石を運んで据えるのは最後の仕事。それまでに多くの測量点を決めていかねば決められないことだと知りました。
    北陸新幹線の橋脚を作っている監督の友人に、山のこっちとあっちで分かれて作っているけど、基準はどうしているのか、と問うと。やはり国土地理院の水準点を基準にして作っているそうです。
    地図というのは偉大だと思いました。

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