ご当地技法がある左官工法

WORKS
 久しぶりにリフォームネタです。
 外壁補修の見積依頼がありました。早速行ってみると↓


モルタル壁の何箇所かクラックが入り、仕上げ材がこれも何箇所か脱落しておりました。まあ「軽微」な補修作業なんですが。 今日はこれを記事の題材としましょう。
 
 この外壁仕上げ法を「リシン掻き落とし」技法と呼びます。現代では極少数派になってしまっている技法なんですが・・・・。実はコウダの実家は同じ仕上げ法になっておりまして、築42年なんですが、全く補修もなく建築時のままを保持しております。モルタル壁は古い、割れる 等の評判もありましょうけど。現代のサイディング壁も耐用年数20年程度ですから・・・・・古くて持たない、という評価は当たらないですね。再評価されてもおかくしくない技法だと思っています。
 
 今回の現場は先の震災と、躯体の構造、下地作りが弱かったので割れてしまいましたが。まあそれでも左官技法で補修が効き、結局ローコストで長持ちしている、という証明でもあります。

そのことじゃなかった今日の本論。この「リシン掻き落とし」仕上げというのは、モルタル下地の上に。セメントでなくて、石灰と骨材を混ぜたモルタルを塗付、硬化した後に、剣山で表面を削り割肌にしたものを言います。
 
 現在のように、建材が電話一本で届く時代出なかった時は、身の回りで手に入る建材で民家は建てられてきたわけです。石灰が取れる土地では漆喰壁が。当地のように木しか取れない土地では、板壁、杉皮葺きの屋根とか。石が取れれば蔵に。粘土が取れれば、土蔵や土壁、瓦が出来。左官技法は、その土地で採れる建材と共に進化してきております。
 
 で、このリシン掻き落とし。当地独自の骨材が使われております。つまり石灰に混ぜる骨材にご当地の独自性があるんですね。
 
 当地では、「白錆」と呼ばれる細かな砂が使われてきました。これって何????。
 はっきり言うと「真砂土」を洗ってフルイにかけたものですね。真砂土は花崗岩が風化した砂で、一番硬い石英岩の結晶が残ります。これも風化してますから、薄ら黄色いんです。これを骨材にして塗って削ると、淡い黄色が残ったリシン壁になるわけです。
 この白錆を持っているのは、恐らく栃木でも当店だけかと思います。ですので、施主様は当社に依頼をかけてくれてよかったと思いますよ。多少の色ムラはでますが、ほぼ同じ材料で直してあげられるのですね。

コメント

  1. sna***** より:

    気候風土に合ったその地特有の建築群って意識したことはありますが、建材も地産地消だったんですね。真砂土だったらsnaの在住地も有名な産地ですが、さて『白錆』なるモノが利用されてきたかどうか、俄然関心が湧いてきました。たとえ同じ真砂土を建材として利用したとしても、同様の工法を用いているかどうか、色々興味深い記事でした。

  2. kouda より:

    > sna*****さん
    地域ごとの左官技法の違い、って。調べる暇ないですが。きっと相当な違いがあるように想像します。興味あるテーマですね。

タイトルとURLをコピーしました