家族 愛

TOWN

 我ながら気恥ずかしいタイトル・・・・・・だな・・・・・・。

 勿論大河ドラマの話でもない。

 日曜日。子ヤギを連れに行った時に、牧場主と嫌がる子ヤギの首に紐をかけていると、背後で物音がする。

 柵を乗り越えんばかりの勢いで、立ち上がり、大声をあげている大人ヤギがそこには 居た。

 母ヤギ!。

 ギッ 一瞬息が詰まった私は、もう小屋の方を振り返ることはできなかった。

 さっさと、子ヤギを荷台に縛り、顔を背けたまま、逃げるように牧場を後にした。

 荷台では悲鳴のような泣き声の輪唱。わずか2、3分の道中がいかに辛かったか・・・・・。 

 仕方のないこと。何時かは来る別れ。と、人間は理詰めで、飲み込むこともできる。

 しかし自分が、親子を引き裂く悪魔のような役割を担ってしまうと・・・・二日たってもあの親子の絶叫が、頭から離れない。

 家に着き。悪魔になって、子ヤギの兄弟を、小屋に押し込めた。馴れるまでそのままにしておくつもりだったが、朝早く連れてきた時に、仮に縛ったロープが首にかかったままだった。

 夕方、もうそろそろ落ち着いたか、と首輪を取り付けにかかり、1頭抑えている間に、もう1頭に小屋から脱走されてしまう。

 一応、ネット柵はめぐらせてあるが、脱走する際のジャンプ力を見て、焦る 私であった。

 この勢いで、ネットの外へ逃げられたら どうしよう!!!!!。つかまらなくて、近所の畑など、食害など与えてしまい、謝って歩く自分を想像してしまう。

 ところが である。奴はネットの中を一周駆け回った後は、逃げなかった。

 逆に、首輪とロープで繋がれてしまった兄弟に寄って来て、鼻をつき合わせたのであった。

 親と、優しかった飼い主との間を裂き、今また押さえつけ、首にロープをかけた「悪魔」のような私から一番離れた位置で、兄弟は無事を確認しあっているようだった。

 狼など天敵から身を守る方法は、集団でいることだったかもしれぬ。だからこそ強い家族愛。

 獣と見下すことなかれ。人よりも強い絆かも知れぬ・・・・・・・。

 良い子でいたいというわけでもないが、後ろ指さされるような生き方はしたくない、と思っている私には、子ヤギたちにまだ悪魔と思われたままで ・・・・・なんともバツが悪い日々だ。

コメント

  1. はたかおり より:

    うちも最初のメスヤギを牧場から連れ去るときは、ものすごく鳴かれました。
    でも車に載せたら急に大人しくなってまわりのことに興味を示し、ずっと大人しくしていました。
    次の朝、わたしをじっと見つめ、
    「今日からあなたがアタシのおかーさんよ。責任とってね」
    と言わんばかりにアァァァァァ~~!と鳴きました。
    それ以来、わたしはななちゃんの奴隷です^^;

  2. kouda より:

    まだまだ手探り状態ですが、人間も山羊もそれなりに落ち着いてきましたね。
    でも気が抜けない状態は続いております。こうした緊張感というのは久しぶりですね。

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