日光湯元温泉へ

WORKS

 今日は当地でも20度と、5月のGW頃の陽気。

 とある温泉旅館の風呂の改修工事の打ち合わせに、日光湯元温泉に向う。峠の向こうは群馬県という県西部山地の最奥にある。その峠も4月下旬にならなければ、除雪ができず、現在冬季通行止め。そんな高地であるから、とジャンパー持参で行ったが気温が10度以上もあり、融雪が進んでいた。やはり通年よりかなり雪が少ない。
 南関東在住の人は、ふーん、なんて聞き流してはいけない。群馬栃木の山に雪が少ない、ということは夏場、皆さんが渇水で苦労する、可能性が高くなっている、ということなのだよ。

 昨年の今頃も、彼の地で別の旅館の風呂の補修工事をしていた。つまりここでは、冬の間は雪と寒さで工事が難航するし、4月の道路開通や新緑の行楽シーズンが始まり、修学旅行、夏休み、秋の紅葉と断続的に客足が続く。営業をストップして風呂を改修する期間というのが、非常に限られる。

 つまり今から一ヶ月がもっとも工事をしやすい時期となる。

 ここの泉質は、高濃度の硫化水素泉、つまり白濁した硫黄臭い高温の温泉で、県下では他に無いくらい各種イオンが溶け込んでいる。その強力なイオンパワーのため、コンクリートさえも溶け出してしまう。

 何もしらない建築士が、間違って大理石など使おうものなら、酸に弱い大理石は数年で無くなってしまうほどの高濃度なのだ。それなのでどこの旅館も定期的な改修・メンテナンスは欠かせない。

 昨年の旅館は当社の直接の施工であった。温泉ガスによりセメントが食われ、タイルが浮き剥離し、目地が取れてまた照明器具の台座も朽ちて脱落しかけており、大変危険な状態になっていた。温泉ガスにより屋根材も溶け、雨漏りも始まっていたのを改修する工事だった。

 今回は、昨年あるペンションの新築離れ風呂を、スペイン風呂・和風風呂にデザイン・コーディネートさせていただきオーナーに喜んでいただいたのだが、その時の工務店が風呂はコウダに、と頼ってくださったらしい。
 
 施工もなのか、デザインだけかはわからないが、とにかく声を掛けてくださるのはありがたいことだ。

 先に書いたように、泉質が特殊なので、むやみに、好きな石や建材を使うことはできない。まず持続性の高い材料、そして温泉のネガティブな要素を低減する建材や構造、造作を心がけるのが、第一になる。
まずはオーナー様の基本的な改修方針を直接お聞きしたく、今日の打ち合わせをセットしていただいた。

 が、今回のミッション。行ってみると、泉質以外に思っても見ない大変ネガティブな要素があることが判明し、一瞬言葉を失ったのだった・・・・・・・・つづく。

コメント

  1. 月子” より:

    イオンてすごいのですね!石を溶かすだなんて…!マイナスイオンという言葉をよく聞きますが、いろいろな種類があるのですね!

  2. クワデン より:

    子どもの頃の楽しみに『紙芝居』というのがあったが、いいところにくると『続く・・・』となって、翌日もまた広場に集まったものです。こちらの主様のブログについ昔を思い出してしまった。常に困難をものともせず果敢に取り組み解決していくこちらの主様ですが、今回はどんな一件が持ち上がったんでしょう。

  3. kouda より:

    物質は元素で出来ている。元素は電子を持って居て、その電子を離し易いものと受け取り易いものがある。水は、水素と酸素で出来ているが水素は電子を取り易く、酸素は失い易い。
    凸凹が相性が良く、酸素と水素は一緒になって水として安定している円満な夫婦。しかし電気を流すと水素酸素と酸素は独立、つまり別居してしまう。これが水の電気分解。
    地中深く高温高圧の温泉水は、周りの岩からいろんな物質が溶け出し来る。夫婦円満な酸素と水素も、そうした横やりを受けて一部分くっ付いて浮気をしてしまうわけだ。
    それで、いろんな物質がとけ込んだ温泉が生まれる。しかし地中で狭い世界で雑居しているうちは良いが、地表に出て解放されると、浮気で同居してただけだから電子的に安定していない。もっと適した相手を求めることになる。
    それでさらなるパートナーを求めて近くにある物質に取り付く奪う。
    それで、温泉成分が固着した岩とか、あるいはセメントの中の物質が奪われて溶け出す、ことになるんだなあ。
    この説明でわかったかなあ??。

  4. kouda より:

    クワデンさん。続きは明日の紙芝居でね。

  5. 月子” より:

    丁寧な説明ありがとうございます…m(__)m
    こんなお馬鹿でも原理(で合っていますか?)理解できたと思います…。
    地上に放たれた水素達は物質にとって危険ということ…ですよね…(ノд

  6. kouda より:

    水素自体は悪くないのだが、地中で出来た硫化水素、とか二酸化硫黄なんかは濃度が高いと、人命をも奪うことがあり。時々火山や温泉地で事故がおきている。
    温泉旅館内ではそんな危険性はないが、○○地獄とかいって高温のガスが噴出している所によっては、立ち入り禁止になっている所もある。
    実際現在の三宅島がそうだし・・。
    練炭で死ねるのは、一酸化炭素という電気的に不安定なガスが、安定を求めて体内の細胞から酸素を奪いにくるから、肺細胞が酸欠になって人は死ぬ。密室でなく酸欠でなくても、高濃度の一酸化炭素を吸えば逝っちゃいます。
    「イオン化」=電気的に不安定、短時間で消える物質ですが。このイオンは人体に有益なものも害になるものもある、ということです。
    勿論温泉は、長い間にセメントを溶かすことはあっても、人体に悪影響を与えるような濃度の所はありませんので勘違いないように。

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