旧日光市と旧足尾町を結ぶ峠が「細尾峠」と言って、現在では「日足トンネル」で結ばれているから車だと3分もかからず通過できるけど。昔は狭い九十九折の峠道で、車でも20分くらいかかったそうだ。
ここの日光側の最後の集落が「細尾」地区なんだけど、数十戸が住んでいる山あいの集落だ。昨年この中の一件からテラス工事を受注して、大変気の良い家主さんと知り合いになった。
山合いだから全然広くないが、畑もやっているようなので、何を作っているのか訊ねたのだ。
だって彼の地は、鹿や猿、猪など動物の方が人口よりも多いと思われたので・・・・・・家庭菜園でさえ防御するのは大変である。
昨年訪れた熊野古道のかつての集落では「猪垣」シシガキと呼ぶ石積みの塀が遺構として残っていた。鹿や猪の食害から家庭菜園を守る古の人の工夫である。現代の集落ではネットで菜園を覆っていた。
そんな意味で、心配して聞いたのだが・・・・・。返答は耳慣れない野菜の名だった。
「細尾菜。 とっても美味いんだよ」
「細尾菜 って私地元に住んで延50年以上になるが初めて聞いた」
「春先 こんな山あいの畑だからほんの僅かしか取れなくて、一般的には出回らないけど、美味いんだよな」
採れたら持っていくよ。と言われたがそんな貴重なもの期待していたわけでないのだが・・・・
律儀なことで今週届いた。これ。
早速お浸しにしていただくと
美味い!!!!!!!
近年野菜は、押しなべて「甘い」を評価軸の中心に据えていて・・・・・正直面白くないのだが。
この菜っ葉。正直濃厚で甘い!です。
基本油菜系統の菜っ葉で、この時期の収穫であれば、霜にも当たり美味しくなるのが通常。しかし私が思った以上に味が濃厚なのは、堆肥等の肥料管理が適切で、伸びやかに育てられてきたのであろう。
同じように、茎まで柔く甘い菜っ葉に「アスパラ菜」というのがあって私も栽培するのだが。
そんな品種改良で出てきたニューネームより、伝来で・・・つまり自家採種で育ててきました、という在来野菜の方が圧倒的に美味いとは・・・・・!?。
家庭菜園をやっている方でも、知らない人が多いのですが・・・・。現代種を売ってますが・・・F1と書かれたものは自家採種できません。つまり子孫を残さないように改良された品種だからです。
「美味しさを優先して子孫を残す能力は切り捨てました」という種なのだ。
このフレーズ自分で書いておいて・・・生物のオスとして生理的にビビるのだ・・・・。
トウモロコシはほぼ100%こうした種に置き換わっており、カボチャさえもそうなってきている。
これは大変危ないことなのだよ。
だって本当の有事がやってくれば、一番大切なのは食料。しかし農家は来年撒く種を持ってない、ということ。すべて種を作るメーカーに皆さんの食料安保は委ねられてしまうということだ。
種を残すことを切り捨てて、美味しさを優先した「消費者」。しかし有事になれば、食料の「種」がないことと同義。
しかし一方で種を自家採種して守って来ている地域伝承野菜が、それを上回る美味さとは・・・・・・。
21世紀に一方で大国が戦争を行っている、という現実を見るに・・・・・。
野菜の種も、もう一回見直そうよ、思いたくなる細尾菜の美味さでした。
山菜のタラの芽と競演。
季節感満載で美味です
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