「つきよみてらす」
何と素敵なネーミングでしょう。そしてその名の通り月星を眺めながら一杯いただけます。
幾何楽堂のテラスです。足もとは急こう配で沢に落ち込み、対岸には自然林が屏風のように展開される文字通り絵画のような風景が広がる。
ここは初め訪れた3年前は、オーナーの小坂氏が製作した巨大なドアが展示されていたオープンテラスだった。
それが2年前の秋に寄ってみると、屋根を掛けていた。
アーチ屋根だったので、屋根材は何を使うのか聞いてみると・・・・・・
ビニールハウス用農業ビニールだという。3年もつと聞いたので・・・壊れたらまた張れば良いし安いから・・。
まあそのような考え方もある。
保健所の関係もあるのだろう。食事の提供はないが、御覧のようにカウンターを設け営業日には一杯飲める。
今回のようなジャズライブを聞きながらの一杯は、飲兵衛には最高の椅子だったろう。
この夜、私も初めてここの夜を体験する機会に恵まれたが、これが素晴らしかった。
明りは、ロウソク。空と森の闇、そして流木や石の構造材に囲まれ、妖しいが妙に落ち着く空間になっている。
ビニール一枚の屋根というのが何とも絶妙。月星を見るためのビニール・・・と思ってしまっていたが、この夜見えたのは深黒の闇。空も森も見分けがつかない日光山地の中にいる。その闇の奥には、シカやクマたちが徘徊している。
臆病な人間を守るのが、コンマ数ミリのビニールとロウソクの明りだけ。
沢登りで、深山の渓流で過ごす時。天幕と焚火だけで過ごす畏怖と喜びがある。ここはそれに近い感覚が得られます。
「月夜美照らす」
これまた幾何楽堂マジック。
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