世の中、商工業が進歩して、住宅建築というものも、変化してきている。
「進歩」と言いたいところだが、ハウスメーカーの内実をしる私には使い辛い言葉である。でも確かなのは、コストダウン。中身はともかく住める家が安く手に入れられるようになったのは間違いない。
自動車と同じように、住宅も、多くの部材と手間の集合体であるから、部品を安く、手間をかけずに、というのがコストダウンの王道。
住宅に占める左官材料と手間を削ってしまえ、とメーカーは考える。実際左官屋が要らないメーカーの住宅はたくさんある。
内壁はクロス仕上げ、外壁はサイディング板。数十年前は当たり前だった内装の塗り壁や外壁のモルタル塗りは激減している。
このサイディング板。表面にレンガや石面の化粧が施されているので、貼るだけで外壁ができてしまう。それに最近は壁内の湿気を抜くために、通気工法といって、外壁を断熱材から離して、つまり躯体から浮かして空気の通り道を確保するのに都合が良い。それでハウスメーカーに限らず、サイディング板を使うのが一般的になっている。
しかしである。板である以上。外壁に何か所もつなぎ目(目地)が出来てしまう。
つなぎ目のない大壁で、左官塗りで外壁を仕上げてほしい。という施主様の要望があったとしたら・・・・。
そうなれば、モルタル壁にすればよいのだが・・・・「安く」という条件が付くと、途端に難しい話となる。
今回、外壁の塗り材メーカーと、サイディング板のメーカーがタイアップして新製品・新工法を考え出してきた。一昔前だとコラボが考えなれなかったメーカー同士である。
サイディングのつなぎ目を、特殊なテープと処理材で消して、大壁にして左官塗りができますよ。という製品である。
しかし建材もそうだが、工法を誤ると、クラックが発生して現代だと、保障問題にもなるので、研修をしないと材料も買えないシステムにしている。
ハウスメーカーのオリジナルやパテントというのは沢山あるだろう。しかしこれは建材メーカーの製品なので、どんな大工でも工務店でも採用できる工法である、 が 研修を受けなければ工事店として認められない。
そこで当社を会場にして、この研修会を先週執り行った。
左官業者は年配者が多く、日頃から「難しいことは苦手」なんて言っている人たちだから、どうかと思ったが直前の案内にもかかわらず、7人も参加者があって、メーカーの担当者も熱が入っていた。
当然、当社もこの認定を受ける思惑である。
写真は実際使われる板に目地処理を実践している様子。
コメント
長年、この仕事を続けていると、うちの主人もそうですが、頭が固まってしまいますね。
日頃から柔軟な対応が出来る人でありたいと思います。
伝統であって、最新である。それが左官工法だと思います。
楽しく仕事が繋げて行ける事祈っております。
もう閉刊となりました業界誌「月刊タイル」に2年間エッセイを連載させていただきました。
その2年間は、左官屋である主人の仕事を深く見つめるいい機会となりました。
時代の流れの中で、変化していくもの、残っていくものをきちんと見つめつつ、左官業をy主人がこの先も続けていけたら…と願うばかりです。
エッセイ読みたかったです。
建築関連の職人さんには厳しいご時勢かと思います。
かくいう私の生業も厳しいです。
黙っていて向こうから仕事が来る時代でないので、キャリアを上げる、こちらから出かけていく、そんなスタンスでやっていこうと思います。