夜明け前の入山口で、見事にAKにすっぽかされてしまった。
まあ良い。こうした性格はわかっていたことだし、第一、登山サイボーグについて歩けるわけもなく、すぐに別々になることは明らかだったから。
それにしても、現在5時15分。計画通り5時に出発したのなら、こちらがハンディを貰いたい位なのに、逆に15分も先行されては通常では追いつけない。
一本道だから絶対にすれ違うから出会えないことはないが・・・余り差が開くと下山口でも待ってくれず、「先に帰たから」・・・なんてまたも置いてけぼりにあうことだろう。
430km6時間も走って来て、置いてけぼりくらって、一瞬だけすれ違って、再会の祝杯も挙げずじゃあね。
それじゃあまりに冷たすぎるんでないかい?。いくら恋人同士でなくても・・・・・。
ということで、長丁場を考えると、最初は自重したいところだが・・・・通常より早いペースで登り始める。
途中の山小屋で小休止。頂上できっと長く休むはずだからそれまでに追いつけたら、と計算する。
剣岳・早月尾根コースは、登山道としては平均以上に登りやすい。ただひたすら登る。標高200mごとに御影石でできた道標があり、励みになるが、持参した高度計によれば何かちょっといい加減な感じ。
2200m地点にある早月小屋が当面の目標で、先人の記録から5時間を目処にしていたが、3時間10分で到着した。
ここでまた中年登山者の浅ましさ。つい小屋でビール買って一杯やってしまう。
予想以上のペースで登れており一時間当たり450m。残り800mなので、ここでどうにか日帰り、それも日のあるうちに降りて来れそうだ、と思ったら安心してしまった。
小屋の周りはもうすでに紅葉が始まっている。
小屋の上はしばらく潅木帯が続くが、すぐに樹林帯を抜け、2500mを超えると、急勾配の岩場が続き鎖場が連続するようになる。足元がきっぱり切れ落ちていて高度感は充分すぎる。
途中二箇所ほど緊張させられるポイントがあったが、しっかりステディに登れば大丈夫だ。
あと数十メーターで頂上という所で、AKが降りてきた。
ひとしきり文句を言いたいが、前後登山者が詰まっているので、小屋で待っていてくれ、といってすれ違う。
剣岳頂上2999mには10時50分着。登りタイム5時間25分は、7時間を覚悟していた自分にとっては上出来。
天気も最高で、北側に低い雲があるほかは、ほぼ360度の大展望。遠くに富士山も見える。穂高連峰から北のアルプスは全部見える。
北の富山湾の先には、能登半島のほぼ全容が見渡せ、ちょっと衛星写真を見ている気分。
メインのルートである南側にある剣沢を見下ろすと、テントが100張ほど見える。
映画の影響で、今年は剣岳を目指す人が多いのだろう。ネットでは早々とシルバーウイークは付近の山小屋は満室であると書いてあった。それでテント持参組が増えているのだろう。
当然山頂は凄い賑わいであった。
達成感を満喫させてもらう。おもむろにザックから乾杯ビールを取り出し祝杯を挙げ、昼飯もゆっくり味わう。
AKが下で待ってようと、痺れを切らして先発しようとも もうお構いなしだ。もうこっちは頂上をゆっくり味あわせてもらう。
剣岳山頂
そして中央が剣沢 その奥が立山連峰
コメント
剣岳、すばらしいです。
早月尾根を一気に、健脚ですね。
いつか登りたいです。
天候に恵まれて最高の展望でした。
普段そんなに山登りしていないので、日帰りできるかは自信なかったのです。ダメもとでチャレンジしましたが、実現できてちょっぴり自信がつきました。
表ルートより人も少なく登りやすい、眺望も後半は悪くないし、行って良かったと思います。
ぜひチャレンジしてください。