日光市文化財古民家改修 風呂編

WORKS
 只今進行中の工事は、日光市の文化財の民家の改装なのだが。築100年では水回りは勿論、寒さなどちょっと住むには耐えられない、ということで、表側はそのまま残し、家屋の後ろ半分の居住スペースを改装している。
 東京の設計事務所は取り掛かる前にオーナー様からダメ出しされて・・・・入っておらず。ほとんど大工と私で仕様を決めてきた。
 
 腐心しているのは、オリジナルの造作をどこまで残すか。改装してもその雰囲気を醸し出すことと、現代の住み心地との「匙加減」である。オーナー様もそうした方向性は一致しているのだが・・・・・場面場面いろんな部分で「悩み」がでる。
 
 今週から風呂の改修に取り掛かっている。まさに匙加減(仕様の提案)が自分自身に問われている。
 湯船は現代の人工樹脂。これは仕方ない。メインの壁タイルはモザイクを使用して古の感じを出すまでは・・・・合意が早かった。
 
 最初の問題は、天井が見事な木組みでできており、天頂部は湯気抜きの天窓まで造作されていたのだ・・・・・。オーナー様は、「これは見事で、古の職人技を残したいねえ」、が、木色がもう煤けて美しくない、と奥様・・・・・・さて どうしたものか・・・。そこで大工の棟梁が発する。新しい木でこの木組み再現して見せましょう、と。
 さすが棟梁!「大統領!」と心の中で叫んだね。
 
 次の難点は、腰壁が「研ぎ出し」という左官技法で作られていたこと。私は即座にこれは残しましょう、と。左官業の端くれですからね。 そのために、あとで結構苦労することになるのだが。
 
↓改装前の様子。
 腰壁の小豆色の部分が「研ぎ出し」技法による壁。痛みや旧配管の穴の処理問題・・・・・・。加えて面が平滑でなく、良く測ると不陸が結構ある・・・・・・明日に続く

 棟梁が再現した浴室天井。見事でした。所野の「渡辺建築」棟梁の製作です。

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