誰しも感じる超高齢化社会です。
弱者配慮の造作が家の内外に求められております。
私は、特別そうした講習や勉強を積んだわけではありませんが、若い時に障害者介護ボランティアをしておりましたので最低限のポイントは理解しているつもりです。
スロープ工事が続いているので、今日は造作する際の注意点を紹介します。各々の土地・家の状況は違いますので、あくまで原則的な話と了解ください。
①幅
通れるだけなら最低70cm必要です。でも実際的には100cmは欲しい。
②傾斜
これが大きなポイント。自力で上がる腕力がある人でも10%(1mで10cm上がるということ)はキツイ。数%以内が望ましい。自力で上がらず介護者がいるという前提ならそれ以上も可能だけど、それでも12%位に抑えたい所です。
③曲がり
直線で長さが取れない場合。前回の作例のように90度折り曲げたりする必要も出てくるでしょう。ただ「曲がる」というのは車椅子では大変なことなので、これも最小にしたい。いろは坂のように180度曲げる、というのはできれば避けたい。
④踊り場
曲げる場合は、絶対に水平面の踊り場が必要。曲がり部分も傾斜を稼ぐ、つまりバンクにしては絶対にいけない。
⑤転び止め &手摺
前回の作例では右手は手摺。手摺は勿論歩行補助のためですが、転落防止のためでもあります。左下レンガ積も転落防止のためです。
⑥ノンスリップ
床面はローコストにする場合。コンクリート打ちのまま仕上げること多いでしょう。その場合は鏝で磨き上げないで、「刷毛引き」といいますが、刷毛や箒で横に払って洗濯板状に滑り止め仕上げにします。今回の作例では、「バーナージェット加工」という御影石に滑り止め加工したものを奢っています。これはコンクリートより美的、刷毛引きより長持ち(コンクリート凸凹つけても削れてきますから)、という利点があります。
⑦動線
これも重要です。今週の工事は、ワゴン車がどう入ってきて、どう昇降するか、とのシュミレーションの上で、玄関先の石を移動しました。(この後歩道の縁石も撤去予定)。スロープにつながる土間や道路とのつながり=動線の見極めが必須です。特に玄関前は、スペース、そしてドアの開く方向、雨対応などの配慮が要ります。また玄関内部と框との段差をどう処理するか、というのも常に難問になりますね。内部タタキは通常広くないので取り外し式のスロープでの処理(一般に急傾斜になります)。また框を切り取る、という荒業も必要になるかもしれません。
一昔前は、框や階段に電動の昇降機を付ける、というもの流行りましたが。当然コストがかかります。介護保険サービスが充実してきた現在。少し位の急傾斜なら職員が押し上げてくれる、という割り切りも必要でしょうね。今週の作例では、介護者が全て動かす、という前提で玄関前、通常歩行者にかえって危ない「転び止め」を省きました。
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