讃岐うどん 認識が変化した

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朝7時前に、うどん店の前には、もう20名以上の客が並んでいた。

今回私を招待、案内してくださるU様によれば、この店は県外者つまり旅行の途中で寄る方が多いという。事実他県ナンバーばかりだった。

「讃岐スタイル」と呼ぶべき立ち食いうどん店の流儀は全く初めてだったので、前に並ぶ人の作法を真似るしかない。

店内に入ると食券の自販機があった。それを買ってすぐ脇のカウンターに出す、とそのカウンターの先に居る調理人がそれを見て調理。カウンター脇で立待するが、大体2分くらいで出来上がって出てくる、どんぶり受け取ってから席に座るという流れ。

調理人は5名くらいいるのだが、役割分担とフォローがしっかりしていて作業流れるようだ。

客の方も、さっさと座って黙って食べて、器を返して帰っていく、こちらも流れるようだ。

だからこの店は入り口と出口が別の一方通行だった。

うどん専門店らしい客回転スピードのひとつの極致だと感心した。

 

ただそれより困ったのが自販機のメニューの選択だった。基本うどん麺を食べる店なので、あまり凝ったメニューはないのだが・・・・・

まず玉の量 1~3玉まで麺の量を選ぶ。

「かけ・ぶっかけ・ざる・釜揚げ・釜玉・生しょうゆ など」がある。

その中には冷、温を選べるものもあるし、この店「ぬるい」というカテゴリーもあって、讃岐うどん初体験者にとっては、字面と食味がイメージできず、困惑してしまうのだ。天ぷらは別にトッピングで別会計なのだけど、シンプルな素うどんの選択だけでボタンが10数個並んでいる

それでもどれを食べても、讃岐うどん初体験だからとボタンを押した。

これが「ぬるい・かけ・半玉」だったかな??

これで290円 である。うどん県恐るべし。

 

朝うどん二軒目は、客数はもうちょっい落ち着いていたけれど、ただ70歳代と思われる老人が隣で朝から3玉+天ぷらを豪快に食べていたのが印象的。

江戸っ子蕎麦食いは、「蕎麦を噛むなんて無粋だ」「蕎麦は香りだ」という。確かに細く、かつ腰がある良質の蕎麦をそうして食べると「蕎麦はのど越し」だ、という人の気持ちもわかる。細いがエッジ(◇)がはっきりした蕎麦が喉に刺激を与えつつ胃に落ちていく、その後にホノかな香りが鼻腔を刺激する大変繊細な食べ物なのだ。その意味、私は蕎麦好きとうどん好きを選別してきたように思うのだ。

しかしその老人の豪快な食べっぷり・・・つまり噛んでないんじゃねえの・・・・・という食べ方に・・。

私はうどんも、のど越しと香りであったのかも・・・・・・・、と発見と自戒の念を感じたのだ。

 

余程細く打たれた蕎麦しか「噛まずにのど越し」という食べ方は出来ないからうどんでは無理なのだが。それは人間の慣れの問題であって、私もそうした味わい方ができれば、味覚の世界が広がるかもしれぬ。

 

最終日も含めて都合3件のうどん店を食べたけど、総じて感じたのはよく腰がある、と言われる。讃岐うどんにはまず付けられる形容句だと思うけど。正しくは「腰があってかつ柔らかい」が正確だと思った。

駆け出しの蕎麦屋が「茹でたらない」=腰があると胡麻化している店もあるのだけれど。流石に讃岐うどんは、そんなことはなかった。腰があって柔らかいのは、ごまかし製法ではできないわけで、さすがうどん県だなあ、と感心したのだ。

太いが、柔らかい、でも腰もある・・・・讃岐うどんの神髄。これがザルの1玉=半食

これをツルツルと胃に直接落とし込む。讃岐人恐るべし。

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