石油高騰だから薪ストーブが良いって?ちょっと待った。

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世界情勢が不穏で・・・当然エネルギー価格が高くなっている。

薪ストーブ屋は、ここぞとばかりに石油暖房止めて薪ストーブにしましょう、なんて躍起になっていることだろう。

もちろん当社もそうPRしたいところだけど・・・・ちょっとマッタ!なのだ。そんな目先のことだけで売らんかなの、ストーブ屋の口車に乗ってはいけない。

燃料価格の高騰は消費者として気になるわけだけど・・・。

ちょっと待って。一方でSDGs、持続可能な生活様式という提案の中で「再生産可能なエネルギー」というのが全世界共通の指標になっている。

石油・石炭・天然ガスはダメで、木材なら可、というのが一般的な認識だけど・・・・・・。

今貴方の燃やしている薪は、再生産可能な供給元から得ているのですか?????。

 

私の住む日光市は、県内ダントツの森林面積を誇る。森林組合も盛んに活動している。その組合とも30年近い付き合いだけど・・・。

20年以上前から、杉などの建材よりも、薪になる広葉樹の方がお金になる時代が来ますよ、とアドバイスしているのだが・・・・・組合も、山持ちも・・・・そうは考えてくれなかった。

一方でバイオマス発電所ができたことで、20年30年先の建築材として売り渡し価格を期待するより・・・・目先の燃料費、として現在盛んに若年の植林が切られている。建材となるべく植えられてきたのに・・・・・山を管理しきれない、後継者がいない、将来の価値が見込めないから売るのだ。

同時に薪の主原料たる広葉樹も発電用に切られている。

バイオマス発電用よりは、薪用途の方が単価は高いのだが・・・・・・玉切りして・・・・割って・・・乾燥させて・・・ストックして・・・・配達して・・・・・。

全く採算が合わないのだ。安くても一気にチップに砕いて発電に回したほうが手っ取り早い。

 

本当に建材用途、燃料用途、そうした計画性があって出しているのであろうか?????。

 

それは無い、と思っている。

 

ストーブ屋としては、ユーザーも増えているし。薪ストーブ用の燃料、つまり広葉樹は・・・・・・全くそうした森林計画にいれて欲しいのだが・・・・・・・実際はそして山主の意識の中に全く入っていない。広葉樹の植林や営林など見たことがない。

昔は薪炭、といって、薪や炭の需要があった。そうした広葉樹の森は20年に一度のサイクルで伐採された。

その若い樹齢での伐採は、ヒコバエともいうが、そのサイクルで切ると樹木が若く、切り株からまた生えていく。しかし60年とか経った老木はそれは望み薄なのだ。

現代ではそうしたサイクルで薪や炭原料を出荷している業者がどれほど居るのだろうか?

 

私は、この材木生産地でも、一人も知らない。

つまり、薪ストーブユーザーが期待する、広葉樹を計画的に生産している林業家は、この町日光で出会ったことがない。

これまでは、薪ストーブユーザーはたまたま造成のため切りますよ。落ち葉が迷惑と言われたので切りますよ・・・・・。そんな他力本願のおこぼれ薪をゲットしてきたにすぎなのですよ。

 

この先そんなに増えないでしょう。そんなラッキーな「薪」。

供給能力が全く機能していない現状では、そんな「ラッキーな」薪は減ることはあっても増える見込みはないと思います。森林地帯に住む私が、広葉樹林全く増えていません、と断言しているんです。

薪ストーブ屋さんにお尋ねします。今後燃料用として本当に供給できそうですか???

自己で供給できなくても、薪の頒価相場が石油より安いと言い切れますか??

 

今の石油価格高騰前から私は言ってますが、「燃料費節約のために、薪ストーブ導入」という選択は、相当ハードル高く、一般的には無理、だと思っております。ストーブ屋の口車には注意が必要です。

誤った選択をして欲しくないので、薪ストーブ屋なのにずーーーと言ってます。薪の製造コストは労力をちゃんと計算すれば・・・現状の灯油の方が安いくらいなのです。

薪ストーブは贅沢品です。「薪を自分で作れば安いですよ」 こんなセールストークに騙されないでくださいね。

 

 

コメント

  1. うじ より:

    売り手もさることながら買い手も燃料高騰の影響で山を買ったor親族から譲り受けたから薪ストーブの導入を検討しているといった内容を薪ストーブ関係のコミュニティで散見するようになってきましたね。
    薪ストーブを導入する前に伐倒・搬出・加工と一通りの手順を実践してみて本当に自力でできるか試してみた方が良いですよと一応コメントしているのですが、概ねみなさん背水の陣でのぞまれているようです。
    伐倒も搬出も一派間違えれば大けがや死と隣り合わせなんですけどねぇ、特に広葉樹は。

    • Kouda より:

      うじ様の言うとおりですね。燃料費を稼ぐ、という発想で手を出さない方が良いと思います。チェンソーだけでなく運搬用の車や薪棚など設備投資もバカにならずそのコスト回収はそれほど簡単じゃないです。加えて危険度高く、ライフスタイルとして「取り組む」意識がないと本当に危ないことです。10万円位の燃料費だったら「元を取るのは大変でしょう}
      時々「玉切りされたものありますか?」なんて問い合わせがあります。記事にも書いたように、そんな消費者の都合で流通が動いている物ではないですからね。

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