典型的な扇状地地形として今市扇状地は地図帳にも紹介されるほどだが、その地形を作ったのは、華厳の滝より流れ出ている「大谷川」である。
日光連山は、その主な山が長い時代にわたった火山生成であることも原因のひとつだと思うが、日光連山の山肌をえぐって運ばれてくる大谷川の石は、いくつかの特徴的なものが混ざって存在している。
2年ほど前、実家の石屋に戻った後輩が、地元の名石で、ある造作物を作った、といって見せに来た。
私は、それよりも、こんなものが欲しい、とリクエストして作ってもらったのが、写真にある「束石」である。玄関屋根を受け止める柱の根元に使われる。
地元の石屋では、転石も石質なりに呼び名がいくつかあるらしいのだが、使ったのは3種類。
青・黒系の石で、スライスして磨くと、ベールのような霞模様が入ったもの。
御影石だが、他の産地と違って白の斑点が大きくはいったもの。
そして写真にある赤い石。
それまで地元の川原の石ころなど、意識したこともなかったのだが、製品にしてみると、これがナカナカよろしいではないか。
それで当社HPにも紹介しているのだが、「日光ダイヤ石」と勝手に名づけて売ることにした。
川の名は、大谷川 ダイヤガワ と読む。しかし隣接する宇都宮には大谷石 オオヤイシ という全国的に知られた名石があるから紛らわしい。
それで「日光ダイヤ石」としてみたわけだ。
そんなわけで、私が名づけたわけで、全く知られていないから、間違っても石屋にいって「日光ダイヤ石ください」などと言ってはいけない。石屋を混乱させ、かつ恥をかくだけである。
そんな石も、宣伝力が足らず、全く知名度が上がっていないわけだが。先日束石を探しにやってきた某建築士に見せると気に入ってくれて
「この赤が良いですね。これ二つください」とオーダーを受けた。赤は一個しかない。
喜んで石屋に電話をすると、赤の石の在庫がないと言う。私が石調達してくれば、今夜にでも作ってくれるというが・・・・・・。
その日は半日かかかって石を探し回った。
どうにか見つけて加工してもらうと、写真では判りづらいが、渋い小豆色になっている。
石屋もその名の通り「アズキ」と呼ぶのだそうだ。本当にぴたりのネーミングで、小倉アイスを連想してしまう。
地元にこんな良い石があるのですから、是非使っていただきたいものです。
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