田母沢御用邸の見学で、いくつか参考になった点が多いのだがその最もたる処のひとつが、「壁」であった。
今日は「恥を曝す」、ことしよう。(偉そうに何時も書いているのに、そんなことも知らなかったんです)
如何に自分が田舎者であったことか。
田舎と言うのは、東京に比してのことではない、やはり日本建築の頂は京都、そして御所であったのだ。
北関東は、古はヤマトと異民族争いの最前線地。その後幕府を開くような武士を輩出するも、雅な建築文化を作り上げるまでには至らなかった。
いい訳だが、和風建築の粋というものが、ここに住んでいると殆ど近所に存在していないので、気がつかないできてしまった。
愕然とさせられたのは、御用邸の壁である。
これまで、和風建築の壁は、竹を編んだ心材に土を塗りつけ、漆喰で仕上げるもの、と思い込んでいた。それは高貴な建築も一緒であると・・・・。
しかし御用邸の壁には、土は使われていなかった。
木材の狂いを避けるため、短めに切られたヒノキの板材を下地にして、これも割れを防ぐために、何層にも種類の違う和紙が重ね貼りされたものが壁になっていました。
日本建築の誇るべき点が、材木の木組みを生み出した大工の技と、土を自在に壁や土間にした左官工法にこそある、と思い、ある種の誇りをもって左官材料を商って来たのですが・・・。
思い起こせば、伊勢神宮もそうだったかもしれないが、頂点たる建物には、土は使われていなかったのだ・・・・。
住宅の相談に来た方が、予算がないからクロスを貼る、という。
塗り壁のほうが高級感ありますよ。なんてアドバイス申し上げるのだが、和風の極致は和紙クロスであったとは・・・・知らんかった。
恥ずかしいし、ちょっと複雑である。
コメント
へ~、そうだったんですか。知りませんでしたね~。
すごい技術があったんですね~。それを知らずに来ていたことを【田舎もの】というならば、日本人の殆どが【田舎もの】でしょう。
まあ、【プロ】を自任される方ならではの自省の言葉でしょうけど。文化財修復に関わっていらっしゃるごく一部の人しか知らなかったんじゃないでしょうか。こちらのあるじ様のおかげで、すごく奥深い感動を得る事ができました。ありがとうございます。
防火性の問題がありますので、どこでも使える工法ではないですが、何かやってみたいですね和紙仕上げの壁なんて。
でも石膏ボードに一枚貼り付けただけじゃ深みは出ないだろうなあ。