酷い施工法の尻拭い

STOVE
 昨日の記事に「続編期待」と書かれましたので、お答えしておきます。(マニュアックな内容になりますが・・・・(^_^;))なるべく初心者にわかりやすく書きたいと思います。

 簡単な約束事というか常識をまず箇条書きに
・薪ストーブは本体能力は二の次で、煙突設計と排煙能力が最重要である
・煙突は二重断熱煙突が必須である(当社はシングル煙突メインの施工は断っております)
・断熱煙突を使用した場合、一般に施工費込みで、本体価格を上回ることが多い

 次にその意味です。
・ペレットストーブのようにファンで強制燃焼させるわけでない薪ストーブは煙突のドラフト(吸い上げる力)で吸気がなされ、燃える。どんな高級ストーブでも煙突がプアでは能力が発揮しない。
・断熱煙突は排気を冷まさないから、ドンドン排気を押し上げてくれる。一方シングル煙突は排気が冷やされるため、途中で上昇気流が阻害され止める方向になり、結露した排気と煤が煙突内部に付着する。そのメンテナンスコスト(掃除)の方が、設置(イニシャルコスト)を上回るのが普通
・断熱煙突は重いため、支持金具などにもコストがかかる
・断熱煙突はシングル比べて高価だが、使えば、その意味が分かる。


 という事前了解を理解していただくと、なぜ大変だったかご理解いただける、と思いますが・・・・何分マニュアックなもので・・・・・(^_^;)。

 昨日の現場は、吹き抜け設置で天井上から屋根上まで二本だけ断熱煙突でしたがそれ以下はシングル、途中45度のシングル曲がり二本でオフセットといいますが、煙突抜き位置と室内設置位置およそ1m強調整されております。

 つまり大部分がシングル煙突(約6m)。断熱煙突は接合部(オスメス)がロックされ、ロックバンドを回すので一度接合すれば、破断しても外れません。がシングル煙突は差込接合なので引っ張れば簡単に抜けてしまいます。シングル部分がこれだけ長く、かつ曲がりがある施工の場合は、差込みだけでは安定しないので、各煙突はビスで締結されておりました。これで地震等で外れはしないのですが・・・・・。

 軽いがゆえに、断熱煙突のように重いからそれなりのサポート金具が必要、とはならず簡単な振れ止め金具追加だけ(二本足で煙突を包むだけで荷重は受け止められません)で施工されております。しかしいくら軽いと言ってシングル煙突6本と曲がり役物2本、重量は振れ止め金具では支えられませんね・・・・必然この自重は薪ストーブの天板で支える、という施工法だったのです。はっきり言えば、ローコスト施工法ですね。実際メンテナンスでは最低限のビスを外すわけですが、1mmもない煙突厚のビス止めは何回か繰り返すと「バカ」になってしまうリスクもあります。

 当方通常の施工法は、本体直上にスライドする役物を追加します。煙突自体が躯体と締結、自立していれば、ここを外せば、ストーブ上部、そして煙突掃除のためのブラシも簡単に入れられるわけで、メンテナンス必須の薪ストーブの場合、そうした構造に作るのが普通なんですが・・・・そうした後々のことを無視して各煙突ビス止め、そして荷重はストーブ任せだったので、煙突を外して置けず、縁に載せたままブラシを入れる羽目になりました。
 一般に煙突清掃は煙突トップからブラシを入れる、というのが原則ですが、昨日の写真にもあるように、急勾配の瓦屋根ですので、角トップなんか外してられません。ですのでこうした場合。チムニー上部の角トップは外からブラッシングして煤を落とし、煙突本体は下部からブラッシングとなります。
 その下部からのブラッシングが、不安定なシングル煙突接合そして曲がり役物のため思うように出来ず・・・・・これって完璧に掃除するには、室内に足場を組ん(6m高)で断熱部とシングル部を外さないと出来ないんじゃないでしょうか?
 つまりコスト優先(というか儲け優先)の施工法ですから、この煙突掃除を設置元に依頼すると高額なメンテナンス費用を請求されるか、お茶を濁した掃除ですますしかないですね。

 それが、施工主さんがコストダウンを要求したならまだ理解できます。しかしビルダーも当地方では一流。ストーブ屋も、あるブランドの輸入代理店でもある会社で、聞けば相応の代金を支払っている様子。それも施工は二年前。
 今時こんな施工をする業者がいるのか、と。

 おもわず書いちゃいましたけど、これである筋からクレームが入ったとしても、当社ははっきり言いますよ「なってない施工法だ」と。

国府田産業HP
 
さすがに詳しい写真は差し控えます

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