ヘリテイジという石で出来たストーブ。本当に不思議なストーブである。
素材が石で出来ていて、そのおかげで、鋳鉄よりも蓄熱性が高い、というのは誰でも了解できること。
ここからちょっとマニュアックな話になるけど。このストーブは空気調整レバーが一つだけだ。そしてここでは1次燃焼空気しかおそらくコントロールしていない。
二次燃焼空気は、窓際上部そしてバッフル板下に取り付けられた3本のパイプに開けられた穴から降り注ぎ、まさに「ど派手」な二次燃焼がパノラマのように展開されるわけだけど、この空気はフリー、つまり自由に入ってきてコントロールできない、だから「ど派手」に見える。
他のクリーンバーン機は、二次燃焼空気も絞ることで、ゆっくりとした所謂「オーロラ炎」が見られるわけだけど。ヘリテイジはあんな酸欠気味の暗い炎にならず、酸素がドンドン供給されるから、黄色い完全燃焼の炎色が上部から垂れ下がる。そしてその踊り具合が早い。
これだけ大量の酸素が自由に入ってきて、流速も早いとなれば、燃料が早く尽きてしまうのでは、と考える。が・・・これが予想に反して・・・火持ちが良い???不思議。↓今朝の写真のように、サクラで、さして薪を詰め込まなくても、朝まで熾火が残って再着火も簡単だ。
良く設計されたストーブだ、と関心する。
私なりに分析すれば、二次燃焼=ガス化燃焼なわけだけど。ヘリテイジは石の燃焼室のため、炉内の高温維持時間が長い。よってガス化燃焼が長く続く。
夜中炉内温度が下がってきた時に、空気流速も遅くなり、一般のCB機では今度は酸欠気味になり、燃焼を抑える方向に働くが、ヘリテイジは空気フリーで、かつ炉内温度が高いままなので、ドラフトがあまり落ない、それでガス化燃焼が長く続く。
これには、本体の石の性質だけでなく、バッフル板の能力が優れていることも一因であろう。ヘリテイジのバッフルは他社にはあまり見かけないセラミック製である。ここをソープストーン製にしなかったのは、メンテナンス性を考慮したためと類推するが。かわはらさんはじめ、マニアがバッフルをソープストーンに買えたら、火持ちが良くなったという実験にも符合する。
ガス化燃焼が終了すると、二次燃焼空気は上部からしか供給されないから、熾火になってからは炭の自己消費分しか使用せず、自然と燃え尽きるまで熱を発する、それも高温状態が長いので、ヤケぼっくりも極小となる。
いやあ設計者に敬意を表したくなるようなストーブです。
国府田産業HP
熾火をかき集めて
薪バケツのそこに溜まっている薪くずをパラパラと振りかける
煙が出てくる所に、薪から剥がれた桜の木皮を一二枚被せる
すぐに着火
炎が上がったら薪を入れて再点火終了。この間数分
コメント
今は本当に良い時代で、ネットで様々な機種の薪ストーブによる「オーロラ炎」を見ることができますが、私が一番美しいと思っているのが、このブログにアップされているヘリテイジの炎の動画です
。
この炎は、日光東照宮陽明門の「日暮の門」ならぬ「日暮の炎」ですよね
> Mr.トリデさん
ありがとうございます。またそのうちにアップしましょう(新しい読者も増えているようなので)
でも実は私、アンコールのようなゆったり燃えるストーブ、という絵が好きだったのです。しかしヘリテイジの豪快な二次燃焼を知ってしまうと・・・これはこれで迫力あって良いかも・・と思ってしまいますね。
ご無沙汰しております。ヘリテイジ2年目ユーザーです。仰るとおりすばらしい炎が簡単にみることが出来ます。今年は自分で調達した木を割って使用し、豪快な炎をみながら1年分の労を勝手にねぎらっています(笑)調達した木はほぼ杉、松の建築端材なのですが、先日灰の状態をみてほじっていたら、炉の底に固形状の灰?!の様なものが多く溜まっているのです。灰とヤニ成分が凝固しているのでしょうか。去年は購入した広葉樹ではサラサラの灰しかなかったのに針葉樹に変えたら・・・まさか、煙突にも悪影響が・・・と、少し心配になってしまいます。
> GYM MASTERさん
その炉内の灰は、ウエハースのような固形物で、潰そうと思えば潰せる塊でしょうか?
おそらく「クリンカ」と呼ばれる焼成物です。薪の中の珪素が熱によってガラス化したものです。シリカとも呼ばれますが、岩石や樹木など自然界に広く存在する物質で、塩素のように他の物質とくっついて悪さしたりしない比較的安定した元素です。
経験上低温では少なく、高温の方が多くできます。樹種によって、珪素の割合は違うので、出方はそれぞれですが・・・・悪さをする物質ではないので(ガラスの原料です)心配はいりませんよ。
> koudaさん
そうなのですか!!その固形物をみると青っぽい色味があったりします。「クリンカ」・・・初めて聞きました。針葉樹のヤニが原因とばかり思っていました。確かにウエハースの様になっていますし、潰せます。なるほど~奥が深い。