昨日の続きになります。
旧粟野町にある、井戸湿原からの流れ出す沢水は、すぐに伏流してしまい、およそ一キロに渡って、水音しかしない。この沢は大きな岩で埋め尽くされているからだ。
これが「岩海(塊)斜面」と教わったのが、20年くらい前だった。
当時粟野に貴重な記念物があるが、どうも林道が作られるらしい、と聞いていた。岩塊斜面???何それ、という認識だった。
岩海斜面は、氷河期に氷床に覆われ、花崗岩の岩盤がその寒さで凍結融解の結果、揚げ餅のように、表面に無数のひび割れが入っている。その岩盤が崩落して沢が埋め尽くされている状態のことをいう。
ある財団の援助を得て、調査をすることになった。すると岩海の岩の上に貴重な植物が見つかる。
私の担当は、
①岩海の地図を作ること
②岩海上の温度変化分布(伏流水の真上は涼しい)
③そして岩海の中で生息している天然イワナの確認
どれも結構大変で何度も足を運んだ。
特に③半信半疑だったけど・・・・。湿原への流れ込む、跨げるような細い流れ。ここぞ、という場所を目を凝らして探すと、産卵したばかりのイワナの卵発見!湿原の流れではイワナが生息できなから、岩海の中を行き来している、という証明ができた。
林道阻止、という気持ちはあったのだけど、その存在や価値が全く市民に知られていなかった。それにこれは林道というよりも観光目的の道路だった。それで調査と運動の成果としては、コース変更に留まる。が岩海を横切る道路は最低2箇所に減じることにはなったのだが・・・・。工事は着工された。
約10年ぶりに訪れてみると・・・・・・・・肝心の問題の道路は通行止め、もう何年も使われている形跡はない。本来の目的である湿原に隣接する観光牧場へは別の道からアクセスが容易になっているのだけど・・・・・日曜日のランチタイムだというのに、客は我々しかいない。税金で道路は立派になったけど・・・・・・観光開発に成功しているように見えなかった。
牧場から湿原への遊歩道の入口の看板を読むと、なんと我々が調査した岩海斜面が3年前にに「天然記念物に指定されていた!」・・・・・。
事の経緯は不明だけど・・・・・・結果として・・・・・使わなくてもすむ道路だったら天然記念物を破壊する前に止める決断が欲しかったね。別の道路でアクセス可能なんだし。観光客増につながっていないみたいだから、なんか余計に悔しいね。
国府田産業HP
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