これはちょっと前の案件。
大谷石でできた石蔵というのはこちらではポピュラーな作りなのだけど。その蔵に車がぶつかって欠けたから補修しろ、という建設会社からのオーダー。
聞けば、5cm四方厚みも1cm無いくらいの軽微な損傷とか・・・・。
「直すの止めましょう。かえって汚くなりますから」とお断り申し上げた。しかし・・・・再度直す、というから。
「損害保険使うなら、その分現金頂いて済ませたほうがお互いのためだと思いますけど」と言う。
それでも再々度直す。というので仕方なく修理に向かう。
現場を見ると、大谷石特有の「ミソ」というんだが、黒っぽい弱い部分が既にモルタルであちこち補修されていた。
私が修理を断るのは、構造上弱くなるならともかく、強度に関係ないなら大谷石独特の表面の質感がモルタルで台無しになるから、それならばかえって直さない方が美しい。と思うからである。
が、もうすでに美的に損なうように補修されているのだった。それならば同じように直しましょう、と思っていたら。
施主様曰く
「なるべく目立たないように直してくれ」、と (゜д゜)。
仕方ないので、最善の方法をとることにする。補修モルタルを塗りつけたら、すぐにそこに砕いた大谷石の粉を塗して、塗り込めるのだ。
通常の大谷石の粉は、砕くとベース色の薄緑色一色になってしまう。そこでまた別の砂(これは企業秘密)もブレンドして、大谷石の本来の質感になるべく近づけるように配合。それを刷り込む。
結果↓のようなビフォア アフターに。完璧じゃない。でもベターな工法。感心して喜んでくれたけど・・・・・・・やらない方がまだマシ、と私は思っている。
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