タイルアート と大失敗

WORKS
 
 昨日紹介した工事のお宅は、古美術商ギャラリーである。
 
 この通りに面した壁を改修して施されたデコレーションは、「タイルアート」である。
 
 モザイクタイルと呼ぶ、小さくカットされたタイルを並べて絵を作る。
 勿論絵を作ったのは当社ではなく、専門の工場があるのだ。小さいものは5mm四方ほどで、繊細で根気の要る作業で、とても真似はできない。
 
 タイルは並べられたのちに、表面から紙を貼られ、30cm位にカットされて送られてくる。
 
 それならば、貼るのは造作ない、と思うなかれ。これはこれで、特殊な配慮が必要なのだ。
 かくいう私も、次元大介も初めての施工であるから、入念にシュミレーションして施工にあたった。
 
 この紙貼り、というのが曲者で、糊が乾燥する際、紙を収縮させるので、届いた時には、逆そりに反り返っている。最初の3列を貼りながら、この反りが原因で、圧着材とのくっつきが悪い。
 くっついたら、上から水を掛けて、タイルからこの紙を剥がしていくのだが、全部貼った後では、最初の方が硬化が早いので、絵柄がずれていたら修正がきかない。
 それで製造元からは、貼ったらすぐに剥がせとレクチャーされていた。
 
 それならば、貼る前に、水をつけていたら反りが取れて貼りやすいのでは、と考えた私は、事前に水を紙に打ったのだ。
 
 しかしそれは大変浅はかな行為であったのだ。少々(2分ぐらい)早すぎた。貼りつけようとシートを手にすると、糊がふやけすぎて20枚位脱落してしまったのだ!!!!!!!。
 
 大変焦る ワ・タ・シ。
 
 いきなり現場でジグソーパズルを作るはめになってしまったのだ。
 
 それも、表面は紙貼りなので、絵柄も色もわからないパズルを・・・・・・・・・。
 
 その1シートだけを残して貼ってもらい私はパズルの組み立て。
 紙に残った跡を頼りに、大和糊を買ってきて貼り戻そうとするが、同じような形があり、どうしても10枚位わからなかった。
 
 しかし躊躇している暇はなかった。圧着材が乾いてしまう。
 
 えい、ままよ。そのまま次元に貼りつけてもらう。
 
 数分後。紙を剥がしてもらって、ちょっと安心する。脱落した4色のタイルはすべて着物の帯
の部分で、収まる場所がはっきりしていたからである。
 
 一番多い黒を最後に並べていく。するとどうだ。ほとんど隙間なく並べたつもりなのに、2枚余ってしまった。
 
 施主様にお伺いをたてる。
 
 「細かいタイルなので、そういわれても全然気がつかないので、良いですよ」と優しいお言葉をいただき、助かったのでした。
 
 コウダ、ことし最大の失敗でした。

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