鉄筋コンクリートの弱点

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昨日より続く。なぜコンクリートが脱落するか、という解説です。

現代では当たり前のように存在する「鉄筋コンクリート」構造です。現代ではマンションも橋も、橋脚も・・・・・あらゆるものがこの構造で作られています。何時発明されたか知りませんが・・・私はノーベル賞級の世紀の大発明だと思います。

鉄は対セン断性に優れていますが、曲がりに対しては弱く、それを防ぐためにH型断面の製品が出ているくらいで・・・・加えて重く、高価です。また酸化しやすい弱点もあります。

一方セメントは、砂利砂を加えて初めてコンクリートとして強度が出ます。こうなれば表面硬度はでますが、セン断強度はそれほどでもなく、自重で崩壊してしまうほどです。しかし原材料的には世界中手に入るマテリアルでありリーズナブルです。

この二つの素材を組み合わせた「鉄筋コンクリート」は構造物を作り上げるにあたって、現在では最強の素材の組み合わせです。お互いの弱点を補い合ってプラスアルファの強度・そして意匠性、デザインの自由度を生み出すことに成功しています。

鉄が酸化対策(防錆)の配慮が必要なのに対して、セメントは石灰岩が主成分で、アルカリ性なので、酸化を防ぐという意味でもマッチング最高なんです。

 

しかしながら弱点というか、配慮が必要なこともあります。そのひとつが「コンクリートは完全防水でない!」ということです。多くの方がコンクリートは水を透さない、と思っていると思いますが・・・・・間違いです。実はコンクリートには目に見えない微小な気泡が沢山空いております。それで表面から2-3cm位は水が浸入するのは避けられないのです。

もうお分かりですね。鉄筋コンクリートの骨、鉄筋が表面に近い部分にあった場合、表面から沁みてくる水分で錆が発生。その結果内部が膨れてコンクリート自身が剥離するように脱落・・・・・・、というシナリオです。

通常100年は持つ、と言われている鉄筋コンクリート構造も、鉄筋を表面に近い所に配したばかりに20年くらいで、今回の学校のように破裂してしまうわけです。↓鉄筋がほとんど表層に近いところにあるのがわかりますね。

 

「これって欠陥工事じゃないの????」

厳密に言えば・・・・・そのとおりですね。 コンクリートの被り寸法というか、配筋の位置がずれている。

↓こちらも鉄筋、コンクリートの下端と同じ位置ですね。つまりコンクリートが1mmも被っていなかった、ということ。これでは写真のようにすぐに錆びて・・・・・膨らんで・・・・脱落ですわ。

この部分は最初の位置よりも被り寸法を足して補修してます。カッコは二の次です。水が滲みていかないように、という配慮です。

しかしここは県立の学校でして、それなりの会社が競争入札の結果施工して・・・・それなりの業者・監督のもと施工されたと思われますが・・・・・・出来てしまえば、こうして20年後くらいしか発覚しないし、検査では見えないし、通ってしまうので・・・・・よくあることです。

「良くあることです・・・・て?。 そんな工事されたらたまったもんじゃないわね」

そうなんです。

だから工事に当たっては「複数会社から見積取って比較しなさい」とネットサイトではアドバイスしてますが・・・どっちが安いか、金額の大小は子供でもでも分かっても、その技術内容・配慮までわからないのが普通なので・・・・。あまり有効なアドバイスとは思えませんね。安いほうが本当に良い工事をしてくれるんですかね?????。

 

そうした金額だけ比較の見積依頼が増えており・・・・・手間ばかりかかって結局安いだけのライバル社に取られてしまうので・・・・考えもんです。

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