鳥海山山頂で夜明かし

LIFE
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鳥海山はたしか東北2位の標高で2200m余だった。車道が1000m位まで付いているので、実質1200m標高差だが、真夏期にテント装備だと結構キツイ。まして痛風の足ならなおさらキツイ。

行程の4割方の地点500m位登ったところに「御浜小屋」があって、ここまで2時間のタイムと書いてあった。大体こうした案内より少々早く着くのだが・・・・・・足をかばいながらだから2時間半を要した。上りよりは下りの足の運びが辛い。タイム的には想定内。残りが2時間半と書かれていたからあと3時間半というところだろう。日暮れまではまだ時間はあるから、ここでゆったりと昼飯とする。

実はこの小屋30年以上前に一泊しているのだ。が、こんな形だったんだ、と初対面に等しい。

ゴールデンウイーク中。山スキー担いで初めて登ってきた。しかしガスが酷くて小屋の位置が全く分からなかった。午後5時をまわり周りが暗くなってきていよいよヤバイよ・・・・となったその時足元にスキー板が数本並んでいて、その隣に屋根の棟木のトップだけが覗いていた。つまり小屋はすっぽり雪の下だったわけだ。

「よかった!!!」内心歓喜したのだ。これじゃ初めて来た山で、上も下も真っ白な雪原と霧の中じゃ見つけるのは大変困難だ。見つけられたのはラッキーと思うしかない。

いずれにせよ安堵したのだが・・・・・・その頃から吹雪が酷くなってきて・・・・・まずは小屋へ降りる階段の除雪を手分けして始めたのだ。小屋で泊まるのはよいが、入口を塞がれては窒息もあり、翌朝の脱出に苦労する。

余程の大雪が夜に降らない限り大丈夫だろうと除雪作業を終わった時にはもう日がとっぷり暮れていた。それから内部に入ると、宿泊客が20数名、もういい気分で酔っ払っていた・・・・・・・・・・(^_^;)。

こいつら、こちらが汗して予防行動をしているんのに・・・・・飲んだくれていやがって・・・・・少々ムッときた。

が、何がどうあろうとこの状況では山小屋様さまであるから、感謝して泊めてもらう。

しかし雪の下の小屋であったが、その状況でも夜中外は荒天であることがわかり、翌朝起きれば5月とは思えない寒さと強風が吹き荒れていたのだ。

早朝偵察に山を見に出た友人のTが転がるように降りてきて「コウダさんお茶沸かしてくれ」と興奮した声でいう。大学の山岳部OBで普段クールな男なのに何事???と問えば。単独登山者が降りてきて、昨日強風で滑落。ザックも谷底に落ちて失い、身体一つ岩陰に身を寄せて一晩ビバークしたのだという。頬には真新しい裂傷が痛々しかった。暖かい紅茶とビスケットを振舞う。飯も作れるけど・・・という申し出に。大丈夫ですと気丈に山を降りていった。

この日ゴールデンウイークなのに全国の山で遭難が相次ぎ、記憶によれば30名位が落命している。彼も命が残ったのはラッキーというしかない。

言ってみれば、雪山の恐ろしさを初めて目の当たりにした鳥海山登山であった。その後何回かGWにスキー担いで登っているが、夏は初めてであり、残雪期とこうも地形が違うのかと思う。

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途中外輪山コースと直登コースに分かれるのだが、時間のかかる外輪山コースを選択。もう16時過ぎの山ではすれ違うハイカーもほとんどいない。暑くて苦しいけど・・・・・予想通り痛風の痛みは減ってきている気がする。

 

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山歩きでは常識はずれの18時に山頂に到着。「山頂小屋」と表したけど一般的な営業小屋ではない(御浜小屋も)。つまり私の地元男体山が二荒山神社の御神体であるように、鳥海山大物忌神社の御神体であるので、そこに参拝する「参籠所」なのだ。

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こんな時間に到着する奴に、飯など無い。それは当然。ただ水が手に入るというだけで充分だ。火山であるこの山は水場はほとんどない。ペットボトル500mlで、500円。食事と明朝の行動ために4本購入。もっとも残雪を煮沸すれば使えるけどね。

見たかった日本海に沈む夕陽を2200mの山頂からの 風景

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